2021/01/22 11:52

この度ご縁があり当店のガラス位牌をご注文いただいたお客様から素敵なお便りをいただきましたのでご紹介させていただきます。

(ご了承済み、原文まま)



忍ぶということ



 届いた包みを開けるときは、ちょっとどきどきしました。




美しく結ばれた紐、包んである布をほどいていくと、まあ、なんときれいなガラスの位牌!

こもれび堂さんは、静岡県浜松市にあり、まさに富士山のお膝元です。

「富士と桜」をモチーフにして、ガラスの位牌を作るという発想には、驚きました。果たして、どのようなものなのか。



 

位牌は暗い仏壇の中に納まっているものという固定概念を覆したと思います。

日本人は宗教には寛容で、様々な考え方を持っています。

故人を忍ぶ方法もそれだけの数があります。

我が家は全くの無宗教で、両親には全くこだわりがありませんでした。




父が亡くなったときに、大きな悲しみの中で、葬儀社のスタッフの方々の指示するままに、葬儀を執り行ってしまったという悔いがありました。

父は、書画に長けた人で、70歳まで航空関係の仕事に就いていた人です。

本人と母の戒名、墓石に彫ってほしい「空」という書を残していました。

しかし、ごく普通の仏教式の葬儀でしたから、父の希望は墓石しか叶えてあげられませんでした。




それが、この美しいガラスの位牌の存在を知って、父らしい位牌を用意できる、生前に自分が好きな位牌を作っていただける、ということを聞き、素晴らしいと思いました。

即決即断でお願いしました。




そして、手元に届いた、細やかで丁寧に仕上げられた位牌を陽にかざして見ています。

繊細な青、富士山頂にいただいた雪とも雲とも感じられる白、朝焼けとも夕暮れとも見える赤富士、はらはらと散る桜。

私の望みにぴったりでした。





家族や親しい人との別れは悲しく辛いものです。

亡くなった人を忍ぶことはいつでもできますが、その人らしい、あるいはその人が望んだ対象物があることは、祝福されることのように思えます。

人を忍ぶことは、血縁があろうとなかろうと、命を受け継いでいくことの大切さを教えてくれます。

こんなに私の希望に沿った見事な位牌を作ってくださったこもれび堂さんに、心から感謝しています。




ありがとうございました。